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王向華著 香港人の著者が日系スーパーの経営風土や日本人社員の職業生活を追ったエスノグラフィー。オックスフォード大学の博士論文を、自己批判的に改訂邦訳、瀬川昌久氏らとのオープンテキスト化によって、「間主観的現実の構築」を目指した好著。 A5判・並製カバー・440頁・本体3600円 2004年6月20日発行 ISBN4-89489-027-5 目次 まえがき 著者紹介 |
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まえがき ●第一部 文化と歴史 ●第三部 文化と個人 あとがき |
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本著は日本のスーパーマーケットであるフメイ香港社における日本人社員と現地人社員の間の人間関係、ならびにインタラクションに関する人類学的研究である。この人間関係とインタラクションは衝突、人為的操作や友情関係なども含まれ、非常に複雑であるがゆえに、これらのどれか一つに集約するということは不可能である。本著はこれらの人間関係とインタラクションにおけるダイナミクスについて分析することを目的としている。フメイは当初、日本の地方スーパーであり、香港に進出したのは一九八四年のことであった。その後十三年の間にフメイはマカオに一店舗、そして香港に九店舗を展開するに至ったが、一九九七年に倒産の憂き目を見ることとなった。 とはいえ、本書は、自己批判と自己反省のみに終始するものではない。もしそうだったとしたら、本書は「生産的」なものにはならないし、人類学者の自我の問題にばかり注目したものになる。本書は、自己批判の成果に基づいて、より良いエスノグラフィ、少なくとも前著よりも良いものを書くための試みである(当然、最後の判断は読者に任せることとなるが)。それゆえ、本書において筆者は前著を大幅に修正した。まず、前著の第二章と第三章に加筆訂正し、本書の第二章とした。香港社会史に関する第三章を新しく設け、また、フメイの香港進出にかかわる第四章を大幅に加筆訂正した。これら三つの章が本書の第一部をなしている。次に、前著のフメイ香港の組織と空間構造に関する第五章は削除し、また、前著のフメイ香港という会社の組織文化にかかわる第六章、第七章、第八章を大幅にアレンジし直し、加筆訂正も行って、本書の第二部、第三部とした。第二部の二つの章は、経営コントロールとそれにともなう強制的権力とヘゲモニックな権力という二種類の権力が如何に招来されたのかについて考察している。また、第三部の三つの章は、日本人社員の間の人間関係、日本人社員と現地人社員との間の人間関係、現地人社員の間の人間関係について論じている。さらに、本書の三つの部すべてに新たに解説を付け加え、各章の記述に確固とした方向性を与えるための理論的枠組みを提示するよう心がけた。 本書は、筆者と瀬川昌久氏、芹澤知広氏、河口充勇氏らネイティブ人類学者との、クワヤマのいう「間主観的現実の構築」に向けた対話の場でもあった。というのは、本書はクワヤマが主張するところの「オープン・テクスト」としてのエスノグラフィを目指したものであり、筆者は日本社会と香港社会の双方に詳しいこの三人の学者に依頼して、本書に対するコメントを書いてもらった。彼らのコメントは本書以外のものとして見られるのではなく、筆者の彼らのコメントに対する応答とともに本書の結論部を構成することになる。その意味で、彼らは、本書最終部分の共著者である。 なお、本書刊行にあたり、関係者、または団体のプライバシー保護のため、社名、人名、宗教団体名はすべて仮名とした。第一部のフメイの発展史、小川家の歴史、またフメイと万有教に関する記述は多くの文献を参照したが、匿名としたため、表示を避けた。また、第二部の会社のマネージメントシステムについての詳細や第三部の日本人社員間の関係、日本人社員と現地人社員との関係、また、現地人社員関係についても関係者のプライバシー保護のため、故意に変更した部分があるが、本著のストーリー全体としての真実性は保たれたままである。 最後に、本書の各章(第五章、第六章、第七章、第八章の一部を除く)を翻訳して頂いた河口充勇氏、結論の章での筆者の応答を翻訳して頂いた広江倫子氏、また、日本語表現のブラッシュアップをして頂いた瀬川昌久氏と鈴木真由見氏に謝意を表したい。 |
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著者紹介 王向華(おう・こうか、Wong Heung Wah) |