top page | News/新刊 | 刊行リスト | 目録ダウンロード
風響社通信 | ご注文は | リンク集 | フィールドから
広場 | 書評 | 研究会情報


サリー! サリー! サリー! インド・ファッションをフィールドワーク

杉本星子著 発展著しいインドはファッション大国でもある。伝統的衣装・サリーを、「読む」「歩く」「見る」「聞く」というフィールドワークの基本行動から読み解き、インド社会の現在を探る。文化人類学ブックレット2)
A5判・並製・76頁・本体700円
2009年9月30日発行
ISBN978-4-89489-762-5
目次
おわりにより
著者紹介

目次

はじめに:ファッションの文化人類学とは

氈@サリー・ファッションの現在を「みる」

  1 南インド・チェンナイ:2008年1月のある日
  2 花嫁衣装はカーンチープラム・サリー
  3 発展するインド経済と若者ファッション

 インド・サリーの歴史を「よむ」

  1 ラヴィ・ヴァルマーが描いた一九世紀末ファッション
  2 インド女性を虜にした中国刺繍サリー
  3 ナショナル・ドレスとなったサリー

。 シルク・サリーの故郷を「あるく」

  1 猫がまもる繭の里
  2 三つの製糸工場
  3 命を織る機

「 ファッション・サリーの仕掛け人に「きく」

  1 民族衣装と現代モード
  2 三つの老舗サリー・ショップ
  3 デザイナーズ・サリーの工房にて

おわりに:ファッションからみる現代インド

あとがき
参考文献
本書をもっと理解するために
巻末資料

【↑最初の行へ】

あとがき


 ……本書の出発点は、国立民族学博物館特別展『インド サリーの世界―ファッショニング・インディア』(二〇〇五年九月八日―一二月六日)にむけた資料収集や、特別展関連企画での講演「ファッションからみるインドーナショナル・ドレスとなった一枚の布」(主催:千里文化財団、二〇〇五年一〇月一日)にある。京都文教大学人間学部人類学科の学生たちもこの特別展企画に参加し、インド文化を紹介する子ども向けブックレットの作成やワークショップをおこなった。

 特別展『インド サリーの世界―ファッショニング・インディア』は、たんに新しいサリーやインディアン・ドレスを展示する衣装展ではなく、インドのファッションをとおしてインドの歴史とダイナミックに発展する現代インドを紹介しようという民族学・文化人類学の視点にたったファッション展示であった。そこには、特別展を企画したメンバーたちの一つの思いが隠されていた。展示をみた人びとが、あらためて自国の民族衣装である「きもの」へ思いを馳せ、それぞれの心のなかで、近代日本における「日本らしさ」の創造と現代社会における和の文化を考える幻の企画展『日本 「きもの」の世界―ファッショニング・ジャパン』を思い描いていただきたいという願いである。本書は、特別展終了後の、とくに二〇〇七年末から二〇〇八年初めにかけてのインド・ファッションの動向を中心に書かれているが、特別展のテーマに秘められた思いはここにも引き継がれている。

 この本では、インドのナショナル・ドレスであるサリーに焦点をあて、南インドの大都市チェンナイのファッション事情やカーンチープラムのシルク・サリーを中心に語ってきた。インドには、ほかにもヴァーナーラシーの紋織りやパトラの経緯絣のように高度な伝統技術でつくられた美しいサリーがたくさんある。一枚一枚のサリーに、インドの歴史とその地方の人々の生活の営み、そしてインド社会の現在がおりこまれている。フィールドワークを通してサリーに込められた命の連鎖をたどる旅は、まだまだ始まったばかりである。

 この本を読んでくださった皆さんが、インドのサリーだけでなく、「きもの」をはじめとする世界各地のエスニック・ファッションに目を向け、それをとおして現地の社会や文化について理解を深めていただく契機となれば、筆者にとってこのうえない喜びである。

【↑最初の行へ】

著者紹介
杉本星子(すぎもと せいこ)
京都文教大学文化人類学科 教授
著書:『「女神の村」の民族誌−現代インドの文化資本としての家族・カースト・宗教』(2006年、風響社)、『共同研究 戦後の生活記録にまなぶー鶴見和子文庫との対話・未来への通信』、(共編著、2009年、日本図書センター)
論文:「エコツーリズムの聖地マダガスカルの野蚕布生産−森林資源の持続可能な開発にむけた考察」『京都文教大学人間学部研究報告』第10集(2009年)、「日本の近代製糸業とキリスト教精神」『国立民族学博物館調査報告62 キリスト教と文明化の人類学的研究』(2006年)、 「近代インドのファッション:インディアン・ドレスにみるジェンダー表象」『現代南アジア5 社会・文化・ジェンダー』(2003年、東京大学出版会)

【↑最初の行へ】