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<風響社通信 No.15> 2006年7月1日 通信15号をお届けします。上半期の出版が一段落しましたので、そのご報告と夏のご挨拶です。 【初めて受信された方へ】
◎『台湾原住民研究 日本と台湾における回顧と展望』(台湾原住民研究シンポジウム実行委員会編、台湾原住民研究別冊2、2500円)は1月下旬刊行しました。 ◎『民族生成の歴史人類学 満州・旗人・満族』(劉正愛著、5000円)は2月下旬刊行しました。 ◎『東アジアからの人類学 国家・開発・市民』(伊藤亜人先生退職記念論文集編集委員会編、3500円)は3月上旬刊行しました。 ◎『〈女神の村〉の民族誌』(杉本星子著、3600円)は3月下旬刊行しました。 ◎『ベトナムの社会と文化 5/6合併号』(ベトナム社会文化研究会編、3500円)は3月下旬刊行しました。 ◎『台湾原住民研究 10号』(台湾原住民研究会編、3500円)は6月上旬刊行しました。 ◎『戦後台湾における〈日本〉』(五十嵐真子・三尾裕子編、3000円)は6月上旬刊行しました。
◎、京都文教大学文化人類学ブックレットシリーズ 第1冊、第2冊 『スポーツをフィールドワークする フィジー』(橋本和也著) 『サリー! サリー! サリー! エスニック・ファッションをフィールドワーク』 (杉本星子著) ◎『中国文化人類学リーディングス』(瀬川昌久・西澤治彦編訳、価格未定) ◎『〈血縁〉の再構築』の再版(吉原和男編、3000円) ◎『中華民族多元一体構造論集』(費孝通著、価格未定) その他、遅れ気味のものも鋭意準備中です。 いずれも、詳細は小社ホームページをご覧下さい。 ……………………………………………………………… 【後記】 「論理するどく行動きびしき学生の父の多くは戦ひに死す」(岡野弘彦) これは、先日(7月5日)の朝日新聞の「折々のうた」で紹介された一首です。大岡信氏の解説によれば、60年安保当時、教授として学生運動の渦中にあった作者がえがく学生の肖像、手ごわい好敵手である学生の父親の多くが、先の大戦に召集され、無念にも戦死した兵だった、とのことです。 ……戊辰戦争から先の大戦まで、近代日本はあまりにも多くの真っ正直で勇敢なDNAを消耗してきたのだから、ずる賢いのが目立つのも仕方ない。白虎隊から特攻隊まで優秀な人材は真っ先駆けて死んでいき、うまく立ち回った奴らの子孫が増えてしまったのさ……。 これは社主が飲み屋でつぶやく戯れ言の一つですが、上の歌を見て、こんな戯れ言にも一分の理があるのかと思い、くやしさ紛れに記した次第です。 すなわち、この論を敷衍するとサッカーにも当てはまりそうなのです。敵陣に攻め込む人材が少なく、中盤で前線を指図するタイプがやたら多いのも、戊辰戦争から先の大戦まで……、だから決定力がないんだ、と。 サッカーファンや頑張った選手にはご免なさいですし、英霊にも生還された方にも誠に失礼ですね。でも、それにしても、前線にもしカマモトがいれば、と思ったおじさん世代は私一人ではないように思います。 さて、 最近小社の装丁が変わったことにお気づきでしょうか。実は創業以来、装丁デザインを一手に引き受けてくれていたH氏が昨年夏急逝され(享年59歳)、以後何人かの方に実験的にお願いしているところなのです。 数年前に校閲を時折りお願いしていたI女史を亡くしたばかりで、また小社は貴重なスタッフを失ってしまいました。幸いH氏の子息が父親の跡を継ぐべく勉強されており、I女史の追悼文集編纂の過程で古い友人たちと再会したことから、新たな社外スタッフの輪が生まれつつありますので、いずれ違った風合いを感じて頂けるものと思っております。 さてまた、先日は東大・駒場で開催された日本文化人類学会の研究大会に参加しました。小社の書籍の過半は人類学系ですので、欠かさず売店を出すのですが、楽しみはなんと言ってもいろんな方に直に会えることです。 極少のスタッフしかいない小社ですので、打ち合わせを除けば研究室訪問の時間などなく、学会や研究会は一挙に大勢の方と接触できるまたとない機会ですし、パソコンの前に座りっぱなしの社主にとって貴重な外出・出張のチャンスでもあるわけです。 書籍を並べてただ座っているだけなのですが、老若男女さまざまな方が訪れてくれて、本を介していろいろな会話が生まれます。高いね、ちょっとねと価格・内容に文句をつける方も貴重なコメンテーターですし、出来たての新刊をお渡しする執筆者、原稿やゲラを持って来られる方、企画の打ち合わせや打診もあり、十数回分の外出・出張でも収まらないほどのやり取りがわずか二日の内に出来てしまいます。 別の楽しみもあります。日本の人類学では博士課程の内に1年から数年の長期滞在型のフィールドワークを行い、それを博士論文などに結実させることが多いのですが、研究会などでうろうろしていた学部や修士の若者達がそうした長旅を終えて戻ってくると、すっかり逞しくなっていて、見違えるようです。 最近は現地でもインターネット環境が整い、メール交信によって情報網が確保できる地域も増えているようですが、こうした時代でも物理的な距離、異文化に直に身を置いての生活は事実なのですから、やはり「イニシエーション」にはふさわしい体験というべきでしょうか。 私自身は残念ながら長期滞在の経験はなく、こうした体験のエッセンスである論文を日々読み続けるだけで、アームチェア人類学ならぬデスクトップ人類学となり、今やすっかり「黄昏の中盤」状態なのを危惧しています。 そんなわけで原稿に接する時には敬意をもち、なるべく新鮮な眼で「初めての読者」としての驚き・疑問を感じるように心がけたいと思っています。もっとも最近は老化によって、このあいだ読んだのも忘れてしまうので、常に「初めて」感覚が維持できている(?)というのは、皮肉な現象かもしれません。 いよいよ夏休みですね。多くの研究者が短期出張でフィールドに赴かれるため交信も途絶え勝ちとなって、小社では一年で一番仕事に集中できるシーズンとなります。数日読書会仲間と恒例の「見立て」合宿に出かけるのが多少の充電でしょうか。今年はロシアの古典を読んでいるのですが、韃靼海峡を渡ることは諦め、函館でロシアの匂いを嗅いで来ることになりそうです。温泉に浸かって何がロシアだっていう声も聞こえそうですが、直に足で関係史跡を回る作業も行いますのでデスクトップパブリッシャーには充分な刺激ではあります。 では、収穫多い夏をお祈りしております。 追伸:先月、同居していた妻の母が亡くなりました。天寿を全うした安らかな最期とはいえ、やはりもろもろのことがあり、なにかとご迷惑をおかけしています。この夏なんとか挽回するつもりですので、よろしくお願いいたします。 |
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