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世界遺産時代の民俗学

グローバル・スタンダードの受容をめぐる日韓比較

世界遺産時代の民俗学

文化財保護法の展開、無形文化遺産の概念の確立、文化景観をめぐる対応など、多角的に比較検討。

著者 岩本 通弥
ジャンル 民俗・宗教・文学
文化遺産・観光・建築
シリーズ 人類学集刊
出版年月日 2013/02/20
ISBN 9784894891852
判型・ページ数 A5・424ページ
定価 本体5,000円+税
在庫 在庫あり
 

目次



第一章 総説・世界遺産時代と日韓の民俗学
     ──ユネスコ2条約の受容をめぐって(岩本通弥)
 はじめに──本書の目的と概要
 一 日韓の文化財保護法──乖離と近接化
 二 無形遺産条約の形成プロセスとその問題点
 三 文化的景観の受容をめぐる日韓の相違と近接化
 おわりに

第Ⅰ部 日韓の文化財保護法

第二章 日本における文化財保護法の展開(中村 淳)
 一 法の概要
 二 法の展開過程
 三 文化財保護法の展開

第三章 韓国における文化財保護法の展開(丁秀珍 訳・室井康成)
 はじめに
 一 文化財保護法以前
 二 文化財保護法の誕生
 三 文化財保護法以後
 おわりに

第四章 日本美術史/朝鮮美術史の成立(高木博志)
 はじめに
 一 日本美術史の成立
 二 朝鮮美術史の成立
 むすびにかえて

コラム 韓国の無形文化財保護システムにおける「伝授教育制度」(金賢貞)

第Ⅱ部 無形文化遺産──民俗芸能/民俗芸術・工芸技術および古武術

第五章 ユネスコ無形文化遺産になるということ
     ──奥能登のアエノコトの二一世紀(菊地 暁)
 はじめに
 一 ユネスコ無形文化遺産
 二 地方行政の対応
 三 世代交代
 四 コミュニティ化
 おわりに

第六章 江陵端午祭の苦境(南根祐 訳・川森博司)
 はじめに
 一 迎神祭儀の二段構成
 二 虎患譚から婚姻譚へ
 三 大城隍祠「復原」のアイロニー
 四 復原主義民俗学の終焉──まとめに代えて

第七章 あのとき君は〈無形文化財〉だった
     ──文化財としての民俗芸能の昭和三〇〜四〇年代(俵木 悟)
 一 日本と韓国における「文化財としての民俗芸能」
 二 昭和三〇〜四〇年代の再検証
 三 文化財としての民俗芸能の価値認識
 四 背景としての「民俗芸術」以後
 おわりに

第八章 無形文化財制度・工芸技術における「個人」の問題(濱田琢司)
 はじめに
 一 無形文化財(工芸技術)の構成と「個人」
 二 「地方的特色」の稀薄さ
 三 「人間国宝」の二重性──「市井派」と「古典派」
 四 価値の多様性
 おわりに

コラム 創造された韓国の伝統武芸「テッキョン」(李承洙 訳・中村和代)

第Ⅲ部 文化的景観と自然

第九章 日本における文化的景観保護制度の展開と課題(才津祐美子)
 はじめに
 一 世界遺産条約における文化的景観概念導入の経緯
 二 日本の世界遺産と文化的景観
 三 日本における文化的景観保護制度の導入
 おわりに

第一〇章 安東河回村伝統の創出と関係主体の複数性(李相賢 訳・中村和代)
 一 ユネスコ認定の韓国を代表する伝統マウル「河回村」?
 二 重要無形文化財をめぐる河回仮面劇の復元と活用
 三 民俗マウル政策と河回村の既存文化
 四 世界遺産登録論議と河回村一帯の再定立
 五 創られた伝統と河回村の住民

第一一章 世界自然遺産・白神山地の観光化とその影響(青木隆浩)
 はじめに
 一 白神山地の世界遺産登録と観光化
 二 観光化に対する制約と期待の乖離
 おわりに

第一二章 伝説の義犬が甦った瞬間
       ──口碑の具現化を通してみる韓国人の「自然」観(フェルトカンプ、エルメル Elmer VELDKAMP)
 はじめに──「伝説的義犬」の現在的次元
 一  韓国の伝説における義犬伝説
 二 「獒樹の義犬」の環境づくり──伝承の時空間の構築
 三「義犬文化祭」の発展──村の祝祭からペット祭りへ
 四 「獒樹の義犬」のイメージ統一と遺伝子的復原事業
 おわりに──「獒樹の義犬」にみる現代韓国の「自然」観

第一三章 保護・活用対象としての「自然」と「文化的景観」(淺野敏久)
 はじめに
 一 湿地の「ワイズ・ユース」(賢い利用)
 二 日韓の湖沼・干潟保護運動の相違
 三 日本の文化的景観保存運動の論理
 四 考察および論点 

コラム 韓国における「民俗」の位相
       ──笑いを介した抵抗と逆転の発想(川森博司)

索引

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内容説明

西欧偏重主義であった世界遺産保護の潮流に、日韓両国の当事者がいかに対応したのか。文化財保護法の展開、無形文化遺産の概念の確立、文化景観をめぐる対応など、多角的に比較検討。自然観・文化観の相違や、市民運動などさまざまな要因を描く。

 

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 世界遺産──おそらく日本では、その名を冠したテレビ番組も複数あるので、その名を知らない人はほとんどいないだろうし、また一度は登録の延期された奥州・平泉の正式登録をめぐって、その一喜一憂が盛んに報じられたことからも窺えるように、これに登録されることは、絶対的な「善きこと」として語られ、またそう信じられている。世界的機関であるユネスコ(国連教育科学文化機関)あるいは世界の人びとに、その「顕著な普遍的価値」が認められたとして、慶賀、喝采の声が寄せられ、お祝いムードに包まれるが、これに疑念を差し挟むことも許されない雰囲気が、この日本には充満している。
 一九九二年、日本は遅ればせながら、一九七二年から発効していたユネスコの世界遺産条約(正式名称は「世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約」)に調印、加盟する。批准が遅れたのは、日本には独自の文化財保護法があって、それと条約の理念や体系が異なるとされてきたからである。この加盟以降、日本の文化財保護法を含む文化政策や、それと連動する地方政策は、大きく転換をしていく。全国各地で、地元の地域文化を世界遺産に登録しようとする運動が巻き起こり、登録運動を行っている自治体やNPOなどは、今日、ネット検索で確認されるものだけで、少なくとも数十にのぼる。地方行政が火を点け牽引した半官半民の住民運動も多く、それまでの地域住民の主体的な文化運動(郷土運動)や、延いてはそれらと深く関わってきた民俗学にも、多大な影響を及ぼしはじめる。一方、ユネスコ・世界遺産条約の側でも、石造記念物を標準にした西欧に遍在するあり方への反省から、一九九二年には新たに「文化的景観」なるサブ・カテゴリーが設けられ、対象範囲が拡大された。これに呼応して日本の文化財保護法のカテゴリーにも二〇〇四年「文化的景観」が加わるが、ユネスコのいう‘Cultural landscape’と文化財保護法のその規定とでは、定義が微妙に異なっている。後者によれば、文化的景観とは、「地域における人々の生活又は生業及び当該地域の風土により形成された景観地」であり、たとえば棚田や里山・干潟のようなものを指し、それらはその景観をもたらした農山漁村の暮らしをも視野に収めはじめる。これに加えて、世界遺産条約とは別の条約となるが、有形の世界遺産条約の無形版ともいえる「無形遺産条約」(正式名称は「無形文化遺産の保護に関する条約」)が二〇〇六年に発効し、その対象範囲はさらに広がっていく。
 この無形遺産条約の第二条2が定義する分野は、(a)口承による伝統及び表現(無形文化遺産の伝達手段としての言語を含む)、(b)芸能、(c)社会的慣習、儀式及び祭礼行事、(d)自然及び万物に関する知識及び慣習、(e)伝統工芸技術の五つにカテゴライズされているが、これらがこれまで民俗学がもっぱら研究してきた対象と大いに重複しているのは論をまたない。詳しくは本論に譲るが、この条約の起源ともいうべき、第一の根拠となったのは、一九八九年のユネスコ総会で採択された「伝統的文化及び民間伝承の保護に関する勧告」であり、そこではまさに民間伝承(folklore)に焦点があてられていた。その後、このフォークロアは無形文化遺産(intangible cultural heritage)へと変更され、必ずしも両者は等号の関係ではないが、すでに文化財保護法のなかに無形文化に関する保護制度のあった日本や韓国とは異なり、この条約を「非物質文化遺産」と称する中国では、一九九七年に「三級学科(科学)」から「二級学科」に格上げされた民俗学が、この条約の批准をうけて莫大な資金投与のなされた国家的プロジェクトのなかに組み込まれ、その需要が著しく拡張する。多くの民俗学者が「非物質文化遺産」のリスト作成のための調査に「動員」され、そのポストも激増したが、他方で民俗学への負の影響も懸念されることとなる。その状況は日本や韓国でも同様であって、歴史的起源のはっきりしない習俗をサルベージし、復原主義的に構成せざるを得ない隘路に陥りやすく、民俗学の科学性が問われる事態も迎えている。
 世界遺産条約への批准を機に、文化的景観を経て、特に無形遺産条約で弾みがついて広がっていく一連の動きと、二〇〇〇年代初頭から日本各地に運動を加速化させていった世界遺産登録熱ともいうべき時代的風潮(世相)を、私たちは、ひとまず「世界遺産時代」と呼ぶことにし、それ以前と何が異なっているのか、これに至る前史や国内法の文化財保護法に与えた影響、また「遺産」の実質を担う地域社会の変化のプロセスなどを、同じ問題群を抱える韓国の状況と比較対照しつつ、その問題点を多面的に照射することにした(韓国の世界遺産条約加盟は一九八八年、政府の取組みやその登録ブームは日本以上に熱い)。
 本書では日韓の民俗学者を基軸に、文化人類学・地理学・社会学・歴史学の研究者を交え、今、生起している矛盾と葛藤の中にある現実を浮き彫りにする。それとともに、無形文化遺産が対象化されるもうひとつの根拠は、二〇〇一年ユネスコ総会での「文化の多様性に関する世界宣言」であるが、果してこの条約で、文化の多様性を維持することが可能なのかも問い掛ける。何を文化(遺産)と認定するか、また管理の手法もそれぞれの社会で異なるはずのローカルな民俗文化に対して、グローバル・スタンダードを設定する矛盾(ナショナライズされることでの画一化)や、国境や民族あるいは地域を超えて波及的に広がるフォークロアの性格に対して、条約定義の不整合による弊害などが、随所で顕在化している。その典型例が韓国の江陵端午祭の登載に対する中国側の反発と報復であり、起源や所有権をめぐって生じた論争は、両国民のいがみ合いや嫌悪感を増大させる国際紛争の火種として、「平和構築」を謳ったユネスコの理念とは明らかに乖離している。さらに加えれば、この条約がローカルな文化をナショナル・ブランド化し、観光資源化するための、グローバルな権威付けのシステムとして機能しているとしたなら、その現実は無形文化の「保護」という名の「開発」と呼ぶ方が似つかわしい。
 世界遺産といっても、本書で言及されるのは、繰り返すならば、民俗学が主として対象としてきた、生活者の身辺卑近な自然や文化に関するものである。世界遺産条約の「文化的景観」と無形遺産条約の範囲であるが(本書では、この日韓の批准以降の二条約を、場合によって世界遺産2条約・ユネスコ2条約などと呼ぶ)、生活者の身近な身の回りの自然ということで、一部、世界自然遺産も含めている。
なお本研究は、二〇〇八年度から二〇一〇年度まで行われた、科学研究費基盤研究(B)「文化財保護制度における世 界遺産条約の戦略的受容と運用に関する日韓比較研究」(課題番号二〇三二〇一三三、研究代表者/岩本通弥)の研究成果であるが、二〇〇五〜二〇〇七年度にほぼ同じ研究分担者・研究協力者で実施した、同基盤研究(B)「地域資源としての〈景観〉の保全および活用に関する民俗学的研究」(課題番号一七三二〇一三八、研究代表者/岩本通弥)の成果を含むほか(その研究成果報告書は二〇〇八年に刊行済み)、韓国の科研プロジェクト「無形文化財の創出と流用─韓国民俗学再考」(研究代表者/南根祐)との協業の下で実現した。また本書は、執筆メンバーの多くが重複する、岩本通弥編『ふるさと資源化と民俗学』(吉川弘文館、二〇〇七年)の続編としても位置づけられる。本書の刊行が生活者の冷静な「判断」の一助になることを切望する。

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編者紹介

岩本通弥(いわもと みちや)
1956年東京都生まれ。
1985年筑波大学大学院博士課程歴史・人類学研究科単位取得退学。
専攻は民俗学。
現在、東京大学大学院総合文化研究科教授。
主著書として、『民俗学の可能性を拓く―「野の学問」とアカデミズム』(青弓社、2012年、共編)『オーラルヒストリーと〈語り〉のアーカイブ化に向けて』(成城大学グローカル研究センター、2011年、共編)、『東아시아의 近代와 民俗學의 創出』(民俗苑、2008年、共著)、『「家族」はどこへいく』(青弓社、2007年、共著)、『ふるさと資源化と民俗学』(吉川弘文館、2007年、編)、『都市の暮らしの民俗学』(①〜③、吉川弘文館、2006、共編)、『現代民俗誌の地平③ 記憶』(朝倉書店、2003年、編)、『民俗学の冒険④ 覚悟と生き方』(筑摩書房、1999年、編)、『都市民俗学へのいざない』(Ⅰ・Ⅱ、雄山閣、1989年、共編)など。

執筆者紹介(掲載順)

中村 淳(なかむら じゅん)
1968年東京都生まれ。
1997年東京大学大学院総合文化研究科博士課程中途退学。
専攻は文化人類学、民俗学。
共著書として、『民俗学の可能性を拓く―「野の学問」とアカデミズム』(青弓社、2012年、共編)、『ふるさと資源化と民俗学』(吉川弘文館、2007年、共著)、『東アジアからの人類学─国家・開発・市民(伊藤亞人先生退職記念論文集)』(風響社、2006年、共編著)。

丁 秀 珍(ちょん すじん)
1965年韓国ソウル生まれ。
2004年西江大学校社会学科大学院博士課程修了。社会学博士。
専攻は文化社会学、民俗学、伝統文化および文化政治研究。
現在、東国大学校教養教育院講義招聘教授。
主著書として、『無形文化財의 誕生』(歴史批評社、2008年)など。

室井康成(むろい こうせい)
1976年東京都生まれ。
2009年総合研究大学院大学文化科学研究科博士課程修了。博士(文学)。
専攻は民俗学、東アジア近現代思想史。
現在、東京大学東洋文化研究所特任研究員。
主著書として、『柳田国男の民俗学構想』(森話社、2010年)、『江・史跡紀行』(新人物往来社、2010年、共著)、『民俗学的想像力』(せりか書房、2009年、共著)、論文として「希求される大統領像―韓国における〈政治神話〉の生成とその民俗的要因」(『東洋文化』93号、2012年)、「柳田国男と『事大主義』─同時代の言説空間における意味の特質」(『国立歴史民俗博物館研究報告』165号、2011年)、「『ガバナンス』の現在と民俗学研究の方向」(『日本民俗学』262号、2010年)、「『親類主義』の打破─きだみのるの市議選出馬とその意義をめぐって」(『京都民俗』26号、2009年)など。

高木博志(たかぎ ひろし)
1959年大阪府生まれ。
1988年立命館大学大学院文学研究科博士課程後期単位取得退学。博士(文学)。
専攻は日本近代史。
現在、京都大学人文科学研究所教授。
主著書として、『陵墓と文化財の近代』(山川出版社、2010年)、『近代天皇制と古都』 (岩波書店 、2006年)、『近代天皇制の文化史的研究─天皇就任儀礼・年中行事・文化財』(校倉書房、1997年)、『歴史のなかの天皇陵』(思文閣出版、2010年、共編)、『文人世界の光芒と古都奈良─大和の生き字引・水木要太郎』(思文閣出版、2009年、共編)、『近代京都研究』(思文閣出版、2008年、共編)ほか。

金 賢 貞(きむ ひょんじょん)
1976年韓国ソウル生まれ。
2007年筑波大学人文社会科学研究科歴史人類学専攻修了。博士(文学)。
専門は民俗学、文化政策・制度論。
現在、東北大学東北アジア研究センター助教。
著書として、『日本文化事典』(圖書出版문、2010年、共著)、論文として、「『近代文化都市』韓国群山市の負の遺産とまちづくり―植民地時代の建築物の記憶と評価をめぐる一九九〇年代末以降の変化に注目して」(『日本民俗学』269号、2012年)、「民俗學的‘傳承’의 理解와 메커니즘―日本 神社 마쓰리의 持續과 任意結社를 事例로」(『韓國民俗學』50輯、2009年)、The Importance of Communities being able to Provide Venues for Folk Performances and the Effect: a Japanese Case Study(International Journal of Intangible Heritage、 vol.3、2008年)など。

菊地 暁(きくち あきら)
1969年北海道生まれ。
1999年大阪大学大学院文学研究科博士課程修了。博士(文学)。
専攻は民俗学。
現在、京都大学人文科学研究所助教。
主著書として、『柳田国男と民俗学の近代―奥能登のアエノコトの二十世紀』(吉川弘文館、2001年)、『ことばの力―あらたな文明を求めて』(京都大学学術出版会、2012年、共著)、『今和次郎「日本の民家」再訪』(平凡社、2012年、共著)、『帝国の視角/死角 〈昭和期〉日本の知とメディア』(青弓社、2010年、共著)、『近代京都研究』(思文閣出版、2008年、共著)、『身体論のすすめ』(丸善、2005年、編著)、論文として、「ニッポンの民俗写真、あるいは〈民俗学者〉としての写真家」(『写真空間』1号、2008年)、「距離感―民俗写真家・芳賀日出男の軌跡と方法」(『人文学報』91号、2004年)など。
南 根 祐(なむ くぬ)
1959年韓国全羅北道生まれ。
1990年筑波大学大学院歴史人類研究科修了。文学博士。
専攻は民俗学。
現在、東国大学校教養教育院教授。
主著書として、『‘朝鮮民俗學’과 植民主義』(東國大學校出版部、2008年)、『東아시아의 近代와 民俗學의 創出』(民俗苑、2008年、共著)、論文として、「比較民俗學의 方法論再考」(『実践民俗學研究』19号、2012年)、「農村体験観光과 民俗의 真正性―볏가리마을의‘대보름이야기’를 事例로」(『比較民俗學』46輯、2011年)、「韓國‘歴史民俗學’의 方法論再考」(『韓國民俗學』51輯、2010年)、「‘民俗學=民族文化學’의 脱神話化」(『比較民俗學』40輯、2009年)など。

俵木 悟(ひょうき さとる)
1972年千葉県生まれ。
1999年千葉大学大学院社会文化科学研究科都市研究専攻修了。博士(学術)。
専攻は民俗学、民俗芸能研究。
現在、成城大学文芸学部准教授。
著書として、『民俗小事典 神事と芸能』(吉川弘文館、2010年、共編)、『日本の民俗9 祭りの快楽』(吉川弘文館、2009年、共著)、論文として、「『フォークロア』は誰のもの?─国際的知的財産制度にみるもう一つの『伝統文化の保護』」『日本民俗学』253、2008年)、「身体と社会の結節点としての民俗芸能」『日本民俗学』247、2006年)、「文化財としての民俗芸能─その経緯と課題」(『藝能史研究』160、2003年)、「民俗芸能の実践と文化財保護政策─備中神楽の事例から」(『民俗芸能研究』25、1997年)など。

濱田琢司(はまだ たくじ)
1972年栃木県生まれ。
2001年関西学院大学大学院文学研究科博士課程後期課程修了。博士(地理学)。
専攻は文化地理学、地域文化論。
現在、南山大学人文学部日本文化学科准教授。
主著に、『民芸運動と地域文化』(思文閣出版、2006年)、『民芸運動と建築』(淡交社、2010年、共著)、『あたらしい教科書11 民芸』(プチグラパブリッシング、2007年、共同監修)、論文として、「『宝の島』沖縄の手工芸」(『地理』55巻2号、2010年)、「大日本窯業協会・工政会の倉橋藤治郎と胎動期の民芸運動」(『アカデミア 人文社会科学編』91号、2010年)など。
李 承 洙(い すんす)
1967年韓国慶尚南道生まれ。
2003年早稲田大学大学院人間科学研究科博士課程単位取得退学。博士(人間科学)
専攻は民俗学、スポーツ人類学。
現在、中央大学校アジア文化学部比較民俗学科教授。
主著書として『民俗學者가 들려주는 우리 名節』(斗山東亜、2006年)、『새로운 祝祭의 創造와 傳統祝祭의 變容』(民俗苑、2003年)、『놀이의 歴史民族学』(民俗苑、2003年、翻訳)、論文として「韓国における現在の民俗学状況」(『日本民俗学』259号、2009年)、「民俗原形의 創出과 制度化」(『韓国民俗學』46輯、2007年)、「택견의 體系化에 미친 日本柔道의 影響」(『比較民俗學』36輯、2006年)など。

中村和代(なかむら かずよ)
1969年大分県生まれ。
2005年安東大学校大学院民俗学科修士課程修了。
専攻は民俗学。
現在、福岡市史民俗専門部会専門委員。
論文として、「村の『民俗』から国家のシンボルへ─韓国河回別神グッタルノリのナショナル・ブランド化過程」(『日本民俗学』261号、2010年)。

才津祐美子(さいつ ゆみこ)
1969年長崎県生まれ。
2003年大阪大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学。博士(文学)。
専攻は民俗学、文化人類学。
現在、長崎大学大学院水産・環境科学総合研究科准教授。
主著書として、『観光の空間  視点とアプローチ』(ナカニシヤ出版、2009年、共著)、『日本文化の人類学/異文化の民俗学』(法藏館、2008年、共著)、『ふるさと資源化と民俗学』(吉川弘文館、2007年、共著)、『現代民俗誌の地平3  記憶』(朝倉書店、2003年、共著)、論文として、「近代日本における人文景観を中心とした『空間』の保存と活用の歴史的展開  文化財保護制度を中心として」(『国立歴史民俗博物館研究報告』156集、2010年)、「世界遺産の保全と住民生活  『白川郷』を事例として」(『環境社会学研究』12号、2006年)など。

李 相 賢(い さんひょん)
1959年韓国ソウル生まれ。
1997年チュービンゲン大学大学院民俗学科博士取得(Dr. soz. wiss.)。
専攻は民俗学。
現在、安東大学校民俗学科教授。韓国研究財団専門委員。
主著書として、『마을民俗研究의 새地平』(民俗苑、2010年、共著)、『民俗調査의 現場과 方法』(民俗苑、2010年、共著)、『東아시아의 近代와 民俗學의 創出』(民俗苑、2008年、共著)、論文として「安東의 都市化와 토박이들의‘儒教共同體’構築과 運営」(『韓國民俗學』55輯、2012年)、「都市속 民俗創出과 地方文化院」(『韓国民俗学』53輯、2011年)、「無形文化財의 映像民俗誌記録化作業―特徴과 問題點」(『比較民俗學』43輯、2010年)など。

青木隆浩(あおき たかひろ)
1970年東京都生まれ
2000年東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻博士後期課程修了。博士(学術)。
専攻は民俗学、地理学。
現在、国立歴史民俗博物館研究部准教授。
主著書として、『近代酒造業の地域的展開』(吉川弘文館、2003年)、『都市の暮らしと民俗学2 都市の光と闇』(吉川弘文館、2006年、共著)、論文として、「文化財保存の広域化における現状と諸問題  滋賀県の文化的景観をおもな事例として」(『国立歴史民俗博物館研究報告』156号、2010年)、「観光地における文化と自然の有用性  グリーン・ツーリズムを事例に」(『日本民俗学』243号、2005年)、「大正後期〜昭和初期の北関東地方における産地間競争の激化と越後杜氏の採用動向」(『酒史研究』22号、2005年)など。

フェルトカンプ エルメル
            (Elmer VELDKAMP)
1975年オランダ生まれ。
2010年東京大学大学院総合文化研究科超域文化科学専攻博士課程修了。博士(学術)。
専攻は東アジアの文化人類学、民俗学。
現在、オランダ・ユートレヒト大学付属ユニバーシティカレッジ・ルーズベルトアカデミー社会科学部講師。
主著書として、『人と動物の日本史3  動物と現代社会』(吉川弘文館、2009年、共著)、『都市と暮らしの民俗学3  都市の生活リズム』(吉川弘文館、2006年、共著)、『東アジアからの人類学 ―国家・開発・市民』(風響社、2006年、共著)、論文として、「韓國社会의 動物慰靈祭 通해 본 動物의 죽음에 對한 社会的意識의 變化」(『比較文化研究』17輯2号、2011年)、「科学技術とフォークロア―たまごっちの生と死に対する文化的反応」(『日本民俗学』265号、2011年)など。

淺野敏久(あさの としひさ)
1963年東京都生まれ。
1986年東京大学大学院理学系研究科修士課程(地理学専攻)修了。2006年東京大学総合文化研究科学位取得。博士(学術)。
専攻は人文地理学。
現在、広島大学大学院総合科学研究科准教授。
主著書として、『宍道湖・中海と霞ヶ浦―環境運動の地理学』(古今書院、2008年)、『環境問題の現場から─地理学的アプローチ』(古今書院、2003年、共編著)。論文として、「韓国の干潟開発論争地の『その後』にみる『持続可能な開発』」(『地理科学』66巻4号、2011年、共著)、「開発反対運動とシンボル動物」(『地理科学』65巻3号、2010年)、「環境問題論争における空間スケールに応じた争点の相異と運動の連帯─韓国・セマングム干拓問題を事例として」(『地理学評論』82巻4号、2009年、共著)など。

川森博司(かわもり ひろし)
1957年兵庫県生まれ。
1990年大阪大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。博士(文学)。
専攻は民俗学、文化人類学。
現在、神戸女子大学文学部教授。
主著書として、「当事者の声と民俗誌―日本民俗学のもうひとつの可能性」(『東洋文化』93号、2012年)、『日本昔話の構造と語り手』(大阪大学出版会、2000年)、『日本の民俗3 物と人の交流』(吉川弘文館、2008年、共著)、論文として、「柳田の口承文芸論と柳田以後の昔話研究―伝承と社会の変化を視点にして」(『日本民俗学』270号、2012年)、「昔話の語りの変容と語り手の実践―伝承の衰退の議論を読み替える」(『日本民俗学』251号、2007年)、「現代日本における観光と地域社会―ふるさと観光の担い手たち」(『民族学研究』66巻1号、2001年)など。

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