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台湾原住民研究 22

台湾原住民研究 22

台湾先住諸族の研究誌。論文・資料・調査報告・エッセイなどを含む関連情報の拠点。

著者 日本順益台湾原住民研究会
ジャンル 定期刊行物
シリーズ 雑誌 > 台湾原住民研究
出版年月日 2019/03/20
ISBN 9784894898622
判型・ページ数 A5・212ページ
定価 本体3,000円+税
在庫 在庫あり
 

目次

[論文]

プユマの占い鳥をめぐる知識の多様性と変化  蛸島 直

現代社会におけるルカイ大頭目の権威の再構築
   :「伝統のシンボル」と「利他的な貢献者」  尤  驍

伝承と歌会儀礼から見たヤミ族の世界観:人の生誕と死後の再来  森口恒一

[資料と解説]

シラヤ熟蕃研究断片  浅井恵倫

解説:浅井恵倫著「シラヤ熟蕃研究断片」  清水 純

[報告]

10年目を迎えた日台原住民族研究フォーラム  山本芳美

今日の台湾における伊能嘉矩の“踏査”
   :国立台湾大学図書館特別展「重返・田野:伊能嘉矩與臺灣文化再發現」  宮岡真央子

北海道大学アイヌ・先住民研究センター主催国際シンポジウム2018
   :「民族のあり方と先住民族政策──台湾平埔族の原住民族認定をめぐって」  原 英子

浅井恵倫収集資料に関する調査報告
   :台湾大学人類学博物館の収蔵品について  清水 純

[エッセイ]

幻の「臺灣帝國大學」:伊能嘉矩文庫の不思議  森口恒一

[書評・本の紹介]

鹿憶鹿著『粟種與火種――臺灣原住民族的神話與傳説』  山田仁史

高英傑著『垃垃庫斯回憶――我的父親高一生與那段歳月』  宮岡真央子

林修澈主編『台湾原住民族部落事典』  松岡 格


[彙報]
執筆要領と細則
編集後記

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内容説明

台湾先住諸族の研究誌。漢化と近代化の波に呑まれ、消失・変容しつつある多様なその文化を、人類学の立場から考究、紹介。論文・資料・調査報告・エッセイなどを含む関連情報の拠点。

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編集後記

 本誌は今回で22冊目の刊行となります。台湾原住民研究会による刊行物として独自のスタートを切って以来、今日まで年1冊のペースを崩さず刊行できたことは、原稿を寄せてくださった皆様の熱意のおかげと感謝しています。

 22号の刊行にあたり、前編集長の笠原先生が目標として繰り返し言及されてきたある雑誌のことが思い出されます。戦前、植民地下の台湾で刊行されていた『南方土俗』です。この学術雑誌には、当時台湾に赴任していた研究者たちによる台湾原住民の民族学・人類学・言語学・考古学などの研究報告が多数掲載されています。『南方土俗』は昭和6年に台北で創刊されてから、昭和18年の最終号まで、13年間にわたって合併号も含めてちょうど22冊が刊行されました。戦時情勢下の厳しい研究環境によるさまざまな制約を受け、当時の研究者たちが思うように現地調査や研究ができなくなっていく時代を背負ってはいましたが、台湾原住民に関する貴重な現地報告や情報は、今なお学術的な価値を失っていません。

 フィールドデータを重視することは、本誌における基本的な姿勢でもあり、その意味では、かつて『南方土俗』の編集に集った研究者たちの考え方に連なるものがあります。今号をもって本誌が『南方土俗』と同じ数の号数にまで到達したことは、笠原先生が強調されるように確かに私たちにとって一つの節目であるといえるでしょう。

 は平和な時代であるとはいえ、本誌22号までの積み重ねが簡単ではなかったことを考えれば、おそらく『南方土俗』22冊の編集にあたった研究者たちもさまざまな努力と模索の過程を繰り返していたのだろうと想像されます。先人たちになんとか追いつき、来年度以降は数の上で『南方土俗』を追い越すことになります。今後のさらなる歩みを進めるため、本誌を滞りなく次の世代につなげていきたいと考えています。(J・S)
 

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執筆者紹介(掲載順、2018年11月20日現在)

蛸島 直  愛知学院大学文学部・教授
尤 驍   神戸大学大学院国際文化学研究科・博士後期課程
森口恒一  静岡大学・名誉教授
浅井恵倫  台北帝国大学文政学部・元教授
清水 純  日本大学経済学部・教授
山本芳美  都留文科大学・教授
宮岡真央子 福岡大学人文学部・教授
原 英子  岩手県立大学盛岡短期大学部・教授
山田仁史  東北大学大学院文学研究科・准教授
松岡 格  獨協大学国際教養学部・准教授


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