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中国民族誌学  新刊

100年の軌跡と展望

中国民族誌学

ワールドワイドな視点から膨大な中国研究・人類学を整理・総覧、その営為を「中国民族誌学」と名付けた。3月末発売。

著者 河合 洋尚
奈良 雅史
韓 敏
ジャンル 人類学
シリーズ 人類学集刊
出版年月日 2024/03/20
ISBN 9784894893597
判型・ページ数 A5・432ページ
定価 本体3,600円+税
在庫 在庫あり
 

目次

まえがき(編者一同)

●序幕

序 章 中国民族誌学の回顧と現在の課題(河合洋尚・韓敏)
    一 はじめに――目的と指針
    二 中国研究と人類学理論――その関係史の概略
    三 本書の内容と構成

第一章 二〇世紀前半の中国民族誌学――中国社会研究の系譜(中生勝美)
    一 はじめに
    二 二〇世紀初頭の人類学前史
    三 西洋人類学の受容
    四 中国民族学の三大学派と抗日戦争
    五 満洲国と日本占領地における民族誌
    六 おわりに

コラム① 戦前の台湾原住民研究(中生勝美)
    一 はじめに
    二 台湾総督府による原住民調査
    三 専門の人類学者による調査
    四 台北帝国大学文政学部土俗・人種学教室
    五 戦後の継承

●第一部 家族・性差・民族

第二章 親族――中国社会を律する原理の解明に向けて(川口幸大)
    一 はじめに
    二 黎明期の人類学による親族研究と中国という対象
    三 モーリス・フリードマンによるリニージパラダイム
    四 ポストモダン状況下の親族研究批判、および中国本土の開放を受けて
    五 現代的な親族の展開へのアプローチ
    六 おわりに――人類学の親族研究との対話

第三章 ジェンダー――「家父長制」の軛を超えて(堀江未央)
    一 はじめに
    二 まだ見ぬ中国本土へのまなざし ――香港や台湾の親族研究におけるジェンダー
    三 大陸中国での調査の始まりと深化
    四 中国国内における近代国家建設と女性の位置
    五 おわりに

第四章 エスニシティ――中国の「民族」カテゴリーをめぐる研究動向(稲澤 努)
    一 はじめに
    二 「民族」概念の導入と展開
    三 中華民族多元一体とその後の展開
    四 エスニック・バウンダリー論と中国
    五 おわりに

コラム② 国内移動――移民国家・中国(包 双月)
    一 はじめに
    二 漢人の広がり
    三 のべつ幕なし移動の連鎖
    四 おわりに

●第二部 空間・環境・信仰

第五章 コミュニティ――ホリズムの実験と非集団論的転回(川瀬由高)
    一 はじめに――コミュニティ論のフロンティアとしての中国
    二 文明社会でのコミュニティ研究の実験
    三 伏流としての非集団論
    四 考察と展望――中国民族誌学における全体論と非集団論の可能性

第六章 都市――空間論的転回への系譜(河合洋尚・櫻井想)
    一 はじめに
    二 萌芽期の中国都市論
    三 都市化の研究と都市人類学の危機
    四 都市空間論の展開――空間と〈場所〉のアプローチ
    五 考察と展望――都市人類学一般との対話
    コラム③ 国外移動――チャイナタウンの研究動向から(辺 清音)
    一 はじめに
    二 中国系移民コミュニティとしてのチャイナタウン
    三 空間論からのアプローチ
    四 おわりに

第七章 風水――コスモロジーをめぐる研究の系譜(小林宏至)
    一 人類学において風水を研究すること
    二 疑似科学としての風水からオルタナティブへ
    三 風水という研究領域の確立
    四 中国における風水リバイバル
    五 風水研究と人類学の新たな対話に向けて

コラム④ 景観――中国というフィールドをめぐる脱領域的展開(陳 昭)
    一 景観人類学の生起とフィールド――「中国」の位置づけ
    二 継承と革新――日本における発展
    三 脱領域的展開――中国本土における動向
    四 おわりに

第八章 信仰――漢人民俗宗教研究にみる「中国」の一体性と多様性(横田浩一)
    一 はじめに
    二 エリートの宗教、民衆の宗教
    三 祭祀圏
    四 「神・鬼・祖先」
    五 ワトソンのオーソプラクシー論とその後の論争
    六 国家と宗教という枠組みとその超克
    七 考察と展望

第九章 宗教――制度宗教をめぐるポリティクスとグローバルな連関(奈良雅史)
    一 はじめに
    二 国家―社会間のポリティクスのアリーナとしての宗教
    三 「国家―社会関係」枠組みの批判的検討
    四 考察と展望――ポスト世俗主義、グローバリゼーション、マテリアリティ

コラム⑤ メディア――プレ・コロナからポスト・コロナの新展開(藤野陽平)
    一 はじめに
    二 プレ・コロナの中国メディア人類学としての『モノとメディアの人類学』
    三 インターネット以降のメディアを扱った中国民族誌学
    四 おわりに

●第三部 生命・創造・保護

第一〇章 食――つなぐもの、越えていくもの(櫻田涼子)
    一 中国の食の人類学とその射程
    二 中国の食文化を研究するための基本文献
    三 総論から各論へ――中国社会を理解する切り口としての食研究
    四 考察と展望

コラム⑥ 医療――民族医学を中心とする研究動向(磯部美里)
    一 はじめに
    二 中国での展開
    三 民族医学の研究動向
    四 民族医学研究の課題
    五 おわりに

第一一章 観光――ホスト/ゲストからツーリズム・モビリティへ(田中孝枝)
    一 はじめに
    二 観光人類学の急速な発展
    三 中国国内研究の特徴
    四 ツーリズム・モビリティ研究へ
    五 課題と展望

第一二章 芸術――資源・主体・協働の先へ(丹羽朋子・陳昭)
    一 はじめに
    二 モノからモノゴトへ――芸術をめぐる人類学の変遷
    三 生活の芸術化と芸術の生活化――中国芸術人類学会による芸術の資源化
    四 「民衆の芸術」の民族誌――芸術と権力の絡み合いの描き方
    五 芸術郷建――主体から生のプロセスへ
    六 中国で芸術になることの民族誌的探求――現代人類学理論との対話
    七 おわりに――人類学/芸術の協働の先へ

第一三章 芸能――人類学的中国戯劇研究の展開と展望(清水拓野)
    一 はじめに
    二 西洋の演劇人類学の概要
    三 中国本土の研究状況
    四 台湾の研究状況
    五 日本の研究状況
    六 欧米の研究状況
    七 おわりに

コラム⑦ 音楽――民族音楽学的研究の観点から(伏木香織)
    一 はじめに
    二 二つの民族音楽学―中華人民共和国における音楽人類学
    三 台湾における音楽人類学的研究
    四 日本における音楽人類学的な中国音楽研究

第一四章 文化遺産――遺産化の文化政治(周星・黄潔)
    一 はじめに
    二 文化遺産、文化遺産行政と「遺産保護運動」
    三 人類学者の「運動」への関与
    四 遺産実践の文化政治
    五 遺産化の問題発見と批判的遺産研究
    六 まとめ

コラム⑧ 博物館――中国における博物館人類学の展開(韓 敏)
    一 はじめに
    二 近代博物館の誕生と人類学
    三 中国の人類学的博物館
    四 主要な研究動向とその内容
    五 結び

終章 「文明の人類学」をめぐる一試論(河合洋尚・奈良雅史)
    一 人類学と中国研究
    二 中国民族誌学における文明論の展開
    三 文明を媒介とする人類学理論との対話

あとがき(編者一同)

参考文献
付録:中国および中国本土の人類学に関する略年表(近現代中心)
索引

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内容説明

中国を対象とした人類学的研究は膨大だ。本書はそれらを系統的に整理し、ワールドワイドな中国研究・人類学の視点から特色を検討、さらにその営為を「中国民族誌学」と名付けた。地域社会や国家、民族に着目しつつ、その壁を乗り越えることが人類学の第一歩とすれば、その「方法序説」を目指すものである。

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まえがき



編者一同

  

  


  



 本書は、中国を対象とする社会文化人類学(以下、人類学)の研究動向を整理・紹介するものである。

 近年は日本でも中国を研究対象とする人類学者が増えているが、その研究蓄積は人類学一般では十分に知られていない。中国を対象とする人類学的研究は一〇〇年以上の歴史がある。本書はその長年にわたる研究蓄積をテーマごとに解剖し、読者に伝えることを目的としている。

 目下、「中国を対象とする人類学的研究」を的確に表現できる用語は思い当たらない。そこで本書の内容に照らし合わせて、この分野を「中国民族誌学」と呼ぶことにする。民族誌学という言葉は、最近の人類学で聞かれることが少なくなった。民族誌学というと、世界の諸民族の社会組織や生活文化を記述するだけの学問であるという印象をもたれることもある。だが、本書は民族誌学にそのような意味を込めていない。むしろ本書は、中国を対象とする人類学的研究(=中国民族誌学)の「知られざる」理論的知見を、中国研究者と非中国研究者の双方に示すと同時に、中国に関心を持つ一般読者にむけて人類学の知見を紹介することを試みている。

 一〇〇年以上にわたる中国民族誌学の学史を読者に体系立てて伝えるために、本書は――全体的な学史の記述を除き――二〇のテーマを選定した。そのうち一三のテーマ(親族、ジェンダー、エスニシティ、コミュニティ、都市、風水、信仰、宗教、食、観光、芸術、芸能、文化遺産)を独立した章とし、七つのテーマ(国内移動、国外移動、景観、メディア、医療、音楽、博物館)をコラムとした。この分類はあくまで便宜的なものであり、コラムであるから重要度が低い、研究蓄積が少ないというわけではない。両者の違いは、前者が人類学理論との対話をより重視している点にある。

 それぞれの章/コラムは独立しているため、本書を手に取った読者は、それぞれ関心のあるテーマから読み始めてもらえるようになっている。そして初学者への読書案内になるようにも編まれている。各章/コラムの最後には、各テーマの関心をさらに深めたい人のための推薦図書が挙げられている。また、巻末の索引は人名、地名・民族名、事項に分けられている。特定のキーワードを通して、中国民族誌学における別の研究の糸を辿っていくこともできるだろう。併せてご活用いただきたい。中国民族誌学という領域を知っていただくうえで、本書が少しでも役に立つことを願っている。



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編者紹介

河合 洋尚(かわい ひろなお/KAWAI Hironao)
東京都立大学人文社会学部/人文科学研究科・准教授。
1977年、神奈川県生まれ。 
2009年、東京都立大学大学院社会科学研究科博士課程修了。博士(社会人類学)。
専門は社会人類学。景観、空間、都市、文化遺産、フードスケープ(食の景観)を主要な研究テーマとする。中国南部および環太平洋地域の漢族(特に客家)地域のマルチサイト民族誌に従事している。
[主要著作]『〈客家空間〉の生産:梅県における「原郷」創出の民族誌』(風響社、2020 年)、『景観人類学:身体・表象・物質性』(編著・訳書、広州:華南理工大学出版社、2023年)、『南太平洋の中国人社会:客家、本地人と新移民』(風響社、印刷中)。

奈良 雅史(なら まさし/NARA Masashi)
国立民族学博物館超域フィールド科学研究部・准教授。
1982年、北海道生まれ。
2014年、筑波大学大学院人文社会科学研究科博士課程修了。博士(文学)。
専門は文化人類学。宗教、モビリティ、エスニシティを主要な研究テーマとする。中国南部(主に雲南省、浙江省)ならびに台湾において回族をはじめとするムスリム・マイノリティを中心とした調査を行なっている。
[主要著作]「動きのなかの自律性:現代中国における回族のインフォーマルな宗教活動の事例から」(『文化人類学』80号3巻、2015年)、『多元化する台湾のムスリム・コミュニティ』(編著、上智大学イスラーム研究センター、2021年)。

韓 敏(かん びん/HAN Min)
国立民族学博物館超域フィールド科学研究部・教授。
1993年、東京大学大学院総合文化研究科文化人類学専攻博士課程修了。博士(学術)。
専門は文化人類学。中国の農村社会の民族誌、観光からみた文化の表象と再編成、現代における毛沢東の持つ意味とその変化、文化遺産を主要な研究テーマとする。現代中国の社会・文化の変化と持続について考察している。
[主要著作]『回応革命与改革:皖北李村的社会変遷与延続』(南京:江蘇人民出版社、2007年)、『記憶と象徴としての毛沢東:民衆のまなざしから』(臨川書店、2022年)、『革命の実践と表象:現代中国への人類学的アプローチ』(編著、風響社、2009年)。


執筆者紹介(掲載順)

中生 勝美(なかお かつみ/NAKAO Katsumi)
桜美林大学リベラルアーツ学群・教授。
1956年、広島県生まれ
専門は社会人類学。家族、親族、社会組織、宗教、人類学史を主要テーマとする。華北、香港の漢族社会、台湾の原住民社会をフィールドにしているが、人類学史はアメリカ、ヨーロッパと日本の比較をしている。
主要著作『近代日本の人類学史:帝国と植民地の記憶』(風響社、2016年)、『中国農村の生活世界』(風響社、2023)、『異文化へのアプローチ:文化人類学入門』(北樹社、2023年)。

川口 幸大(かわぐち ゆきひろ/KAWAGUCHI Yukihiro)
東北大学大学院文学研究科・教授。
大阪府生まれ。
2007年、東北大学大学院文学研究科博士課程修了。博士(文学)。
専門は文化人類学。家族・親族、宗教、移動、食を主要な研究テーマとする。主なフィールドは中国東南部と日本で、最近はアフリカやヨーロッパ、北米での調査にも取り組んでいる。
[主要著作]『東南中国における伝統のポリティクス:珠江デルタ村落社会の死者儀礼・神祇祭祀・宗族組織』(風響社、2013年)、『ようこそ文化人類学へ:異文化をフィールドワークする君たちに』(昭和堂、2017年)、『世界の中華料理:World Chinese Dishesの民族誌』(昭和堂、印刷中)。

堀江 未央(ほりえ みお/HORIE Mio) 
岐阜大学地域科学部・助教。
1983年、大阪府生まれ。
2016 年、京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科博士課程修了。博士(地域研究)。
専門は文化人類学。ジェンダー、家族、移動、呪術などを主要な研究テーマとする。中国雲南省および東南アジア大陸部山地に居住するラフ族の研究に従事している。
[主要著作]『娘たちのいない村:ヨメ不足の連鎖をめぐる雲南ラフの民族誌』(京都大学学術出版会、2018 年)、『中国の国内移動:内なる他者との邂逅』(共編著、京都大学学術出版会、2020 年)。
稲澤 努(いなざわ つとむ/INAZAWA Tsutomu) 
尚絅学院大学総合人間科学系・准教授。
1977年、東京都生まれ。
2011年、東北大学大学院環境科学研究科谷取得退学。博士(学術)。
専門は文化人類学。エスニシティ、食文化などを主要な研究テーマとしている。広東省を中心とした中国南部の元水上居民や漁民の研究に従事してきた。
[主要著作]『消え去る差異、生み出される差異:中国水上居民のエスニシティ』(東北大学出版会、2016年)、『僑郷:華僑のふるさとをめぐる表象と実像』(共編著、行路社、2016年)、『食をめぐる人類学:飲食実践が紡ぐ社会関係』(共編著、昭和堂、2017年)。

包 双月(ボウ サラ/BAO Shuangyue) 
東北大学大学院文学研究科・助教。
2021年、東北大学大学院文学研究科博士課程修了。博士(文学)。
専門は文化人類学。主に、内モンゴル自治区東部地域における遊牧から定住農耕化したモンゴル人を対象とし、農牧複合、牧畜経営の商業化、肉食行為の変化に関する人類学的研究を行なっている。また、中国における国内移動およびエスニシティの形成と再編、日本におけるモンゴル料理の展開、ガチ中華の世界的な広がりに関する研究に取り組んでいる。
[主要著作]「定住農耕モンゴル人の編み出す民俗知:屠畜の多様化と肉食行為の変化をめぐって」(『文化人類学』88-1、2023年)、『多軸的な自己を生きる:交錯するポジショナリティのオートエスノグラフィ』(共編著、東北大学出版会、印刷中)。

川瀬 由高(かわせ よしたか/KAWASE Yoshitaka)
江戸川大学社会学部・講師。
1986年、北海道生まれ。
2018年、首都大学東京大学院人文科学研究科博士後期課程満期退学。博士(社会人類学)。
専門は社会人類学。主な研究テーマは、コミュニティ論、非集団論、差序格局、家族、親族、移動、歓待など。主な調査地は、中国江南地方、日本の中越地方など。
[主要著作]『共同体なき社会の韻律:中国南京市郊外農村における「非境界的集合」の民族誌』(弘文堂、2019年)、「流動的收割機:収穫期南京市郊外農村的即興分工」(顔行一訳、『人類学研究』第15-16輯、2022年)。
櫻井 想(さくらい そう/SAKURAI Sou) 
紅河学院民族研究院・講師。
1986年、京都府生まれ。
2022年、龍谷大学国際文化学研究科博士課程修了。博士(国際文化学)。
専門は文化人類学。空間、都市を主要な研究テーマとする。これまで天津を調査地としてきたが、今後は雲南省の都市/農村でのマルチサイトな研究を計画している。
[主要著作]「近代天津における鬼市の変遷と都市管理」(『中国:社会と文化』33号、2018年)『天津の鬼市:路上古物市場をめぐる〈空間〉と〈場所〉の人類学』(風響社、2023年)。

辺 清音(へん せいおん/BIAN Qingyin) 
吉林大学哲学社会学院・講師。
2020年、総合研究大学院大学文化科学研究科博士課程修了。博士(文学)。
専門は文化人類学。景観、空間、都市を主要な研究テーマとする。日本における華僑華人と彼らの中国における故郷を主な研究対象とする。
[主要著作]『端芬祖先崇拝:広東僑郷宗教民族誌研究』(北京:宗教文化出版社、2014年)、「都市空間におけるチャイナタウンの再開発:神戸市南京町の中華表象生成を中心に」(『華僑華人研究』15号、2018年)、「チャイナタウンにおける非中華的多様性の表出:神戸南京町生誕150年記念事業を事例として」(『華僑華人研究』18号、2021年)。

小林 宏至(こばやし ひろし/KOBAYASHI Hiroshi) 
山口大学人文学部・准教授。
1981年、東京都生まれ。
2013年、東京都立大学大学院人文科学研究科博士課程修了。博士(社会人類学)。
専門は社会人類学。漢族(客家)社会を民族誌的に研究。風水の実践や日常的な親族をめぐる活動、オンライン空間における言説などを分析し、民俗知識や文化表象がいかにたち現れるかを探求している。
[主要著作]『ホッピー文化論』(共著、ハーベスト社、2016年)、「社会的住所としての宗族」(瀬川昌久・川口幸大編『〈宗族〉と中国社会』風響社、2016年)、「日本社会におけるアオの変化をめぐる一考察」(『東アジア文化の歴史と現在』6号、2022年)。


陳 昭(ちん しょう/CHEN Zhao) 
日本学術振興会特別研究員(PD)(東京都立大学)。
2023年、東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。
専門は文化人類学。景観、デザイン、エコテクノロジーを主な研究テーマとする。環境修復のための景観デザインや人間と自然の調和を図る実践について、デザインスタジオから建設現場までマルチサイトで調査を行っている。
[主要著作]「デザイン人類学の実践とカメラの視線:中国における公園デザインの日常に向かって」(『超域文化科学紀要』26号、2021年)、「対『過程』的発現与探究:設計人類学的内在転向与理論範式」(『北京師範大学学報』第6期、2019年)、「跨学科対話的思考:以『初詣』伝統与明治神宮営建関係的討論為例」(『風景園林』28号、2021年)。

横田 浩一(よこた こういち/YOKOTA Koichi)
人間文化研究機構人間文化研究創発センター・研究員/東京都立大学・客員研究員。
1979年、大阪府生まれ。
2014年首都大学東京大学院人文科学研究科博士後期課程単位取得満期退学。博士(社会人類学)。
専門は社会人類学。宗教、エスニシティ、食文化を主要な研究テーマとする。中国南部(主に広東省潮汕地域)および東南アジアの潮州系華僑華人、台湾の客家地域で調査を行っている。
[主要著作]「台湾南部の潮州系移民をめぐるエスニック関係」(志賀市子編『潮州人』、風響社、2018年)、「農村社会と「国家」言説:広東省潮汕地域における農村住民の日常生活から」(『白山人類学』19号、2016年)。

藤野 陽平(ふじの ようへい/FUJINO Yohei)
北海道大学大学院メディア・コミュニケーション研究院・准教授。
1978年、東京都生まれ。
2006年慶應義塾大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学
専門は文化人類学。宗教、植民地主義、民主化運動、メディアなどを対象に台湾を中心に東アジアにてフィールドワークを行っている。
[主要著作]『ホッピー文化論』(共著、ハーベスト社、2016年)、『台湾における民衆キリスト教の人類学:社会的文脈と癒しの実践』(風響社、2013)、『モノとメディアの人類学』(ナカニシヤ出版、2021年)「エスノグラフィのリミックス:スマホ時代の人類学とアフター・コロナ時代の人類学」(谷島貫太、松本健太郎編『メディア・リミックス:デジタル文化の〈いま〉を解きほぐす』ミネルヴァ書房、2023年)。

櫻田 涼子(さくらだ りょうこ/SAKURADA Ryoko) 
育英短期大学現代コミュニケーション学科・准教授。
1975年、東京都生まれ。
2010 年、筑波大学人文社会科学研究科歴史・人類学専攻博士課程修了。博士(文学)。
専門は文化人類学。マレーシア華人社会のつながり(親族関係と住まい)の研究からスタートし、マレーシア華人の食文化を追いかけシドニーやメルボルンで調査を行い、最近ではマレーシア華人の菓子類を含む軽食や間食の調査を行っている。
[主要著作]『「華人」という描線』(共編著、風響社、2016年)、「越境する「故郷の味」」(阿良田麻里子編『文化を食べる文化を飲む:グローカル化する世界の食とビジネス』ドメス出版、2017年)Anthropology through the Experience of the Physical Body(co-edit, Singapore: Springer, 2024)。

磯部 美里(いそべ みさと/ISOBE Misato) 
国際ファッション専門職大学国際ファッション学部・准教授。
2012年、名古屋大学大学院国際言語文化研究科博士後期課程修了。博士(学術)。
専門は地域研究(中国)、文化人類学、ジェンダー研究。リプロダクション、宗教実践、伝統医療、養子縁組をテーマとし、主に中国の西双版納タイ族や日本の島嶼部に関して調査研究を行う。
[主要著作]「シーサンパンナ・タイ族の養取慣行からみる「不妊」とジェンダー」(坂部晶子編『中国の家族とジェンダー』明石書店、2021年、共著)、「中国雲南省シーサンパンナ・タイ族の養取慣行から考える社会的養育の意義:答志島の寝屋子制度を踏まえて」(『社会的養護とファミリーホーム』12号、2022年)。

田中 孝枝(たなか たかえ/TANAKA Takae) 
多摩大学グローバルスタディーズ学部・准教授。
1984 年、埼玉県生まれ。 
2015年、東京大学大学院総合文化研究科博士課程単位取得退学。博士(学術)。
専門は文化人類学、観光研究。リスク/不確実性、災害、ビジネスを主要な研究テーマとする。中華圏と日本のあいだを移動する人やモノ、情報などの民族誌的研究をマルチサイトで進めている。
[主要著作]「リスク/不確実性:「不確かさ」とともにある観光のダイナミズム」(市野澤潤平編『基本概念から学ぶ観光人類学』ナカニシヤ出版、2022年)、「中国・四川大地震後の地震遺跡とツーリズム」(『文化人類学』85巻2号、2020年)。

丹羽 朋子(にわ ともこ/NIWA Tomoko)
国際ファッション専門職大学国際ファッション学部・講師。
2014年、東京大学大学院総合文化研究科博士課程単位取得退学。博士(学術)。
専門は文化人類学。国内外のものづくり文化、災害の記録と表現実践、映像やアート的手法を用いた民族誌の方法論などを主要な研究テーマとする。
[主要著作]『窓花:中国の切り紙 黄土高原・暮らしの造形』(エクスプランテ・福岡アジア美術館、2013年)、「「カメラの眼」と「肉体を持った眼」を往還する:「映像のフィールドワーク・ラボ」の試みから」(床呂郁哉編『わざの人類学』京都大学学術出版会、2021年)。

清水 拓野(しみず たくや/SHIMIZU Takuya)
関西国際大学国際コミュニケーション学部・教授。
2015年、東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了、博士(学術)。
専門は教育人類学、芸能研究。中国と日本の伝統芸能を人材育成教育や文化遺産の伝承という観点から比較研究してきた。近年は、教育人類学や演劇人類学の理論的研究も行っている。
[主要著作]「伝統表演藝術学校化教育的評価和効果:以秦腔藝術教育為例」(冰上正・山下一夫編『地方戯曲和皮影戯』、台湾・博揚文化事業有限公司、2018年)、『中国伝統芸能の俳優教育:陝西省演劇学校のエスノグラフィー』(風響社、2021年)、「中国戯劇人類学の特徴と展開:中国本土研究者の研究動向を中心として」(『社会人類学年報』48号、2022年)。

伏木 香織(ふしき かおり/FUSHIKI Kaori)
大正大学文学部人文学科・教授。
2004 年、大正大学大学院文学研究科比較文化専攻博士後期課程修了。博士(文学)。
専門は民族音楽学、文化人類学。音楽、戯劇(含人形劇)、舞踊等のパフォーミング・アーツ、宗教、コミュニティ、コミュニティ・ネットワーク等を主要な研究テーマとする。インドネシア、シンガポール、マレーシア、台湾を主要な調査地としている。
[主要著作]Potehi in Southeast Asia and Taiwan (co-edit, Taipei: Taiyuan, 2015), “Nanyin and the Singaporean culture.” (João Sardinha and Ricardo Campos eds. Transglobal Sounds: Music, Youth and Migration. London: Bloomsbury, 2016)

周 星(しゅう せい/ZHOU Xing)
神奈川大学国際日本学部・教授。
1957年、陝西省生まれ。
1989年、中国社会科学院研究生院博士課程修了。博士(民族学)。
専門は民族学(文化人類学)と民俗学。文化遺産、漢服運動、生活革命、慣習法、農民画、宇宙論と薬、トイレ革命を主要な研究テーマとする。中国の西南・西北地域で現地調査を行っている。
[主要著作]『郷土社会的邏輯』(北京大学出版社、2011年)、『本土常識的意味』(北京大学出版社、2016年)、『生熟有度:漢人社会及文化的一項結構主義人類学研究』(商務印書館、2019年)、『百年衣装:中式服装的譜系与漢服運動』(商務印書館、2019年)、『当代中国的厠所革命』(商務印書館、2020年)、『死給你看:対一類自殺現象的法人類学研究』(商務印書館、2020年)。

黄 潔(こう けつ/HUANG Jie)
名古屋大学高等研究院(人文学研究科)・特任助教。
2019年、京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科博士課程修了。博士(地域研究)。
専門は文化人類学・民俗学。少数民族・親族・民間信仰を主要な研究テーマとする。中国南部少数民族(トン族)の親族と地域社会、およびタイの土地神の習合現象、日中儺文化に関する研究などを行っている。
[主要論文]「中国南部におけるトン族の親族組織の再考」(『アジア・アフリカ地域研究』19-2、2020年)、“Concept of Senl in the River Basin Society of the Kam People in Guangxi and Hunan, China”(The Journal of Humanities Nagoya University, Vol.6, 2023)。



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