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台湾原住民研究 6

台湾原住民研究 6

台湾先住諸族の研究誌。[特集]台湾原住民の源流、論文・資料・調査報告・エッセイなどを含む関連情報の拠点。

著者 台湾原住民研究会
ジャンル 定期刊行物
シリーズ 雑誌 > 台湾原住民研究
出版年月日 2002/03/31
ISBN 9784938718701
判型・ページ数 A5・356ページ
定価 本体3,500円+税
在庫 品切れ・重版未定
 

目次

[特集・台湾原住民の源流]

はじめに 末成 道男
1 源流をめぐる問題点  野林 厚志
2 台湾原住民に関する分子人類学の最近の動向 覚書  山田仁史
3 源流をめぐる考古学からの一考  金子えりか
4 源流をめぐる座談会 …… 末成道男、土田滋、笠原政治、清水純

[論文]
台湾原住民の作物起源神話──オーストロネシア民族学・先史学への一寄与  山田仁史
プユマ族のカルマハンと知識──系譜の認識機構を中心に  蛸島 直
高砂義勇隊と心のなかの日本  山路勝彦 
日本人が植民地統治の影響を語るということ──台湾原住民タイヤル族をめぐる研究史の整理  中村 平 

[研究ノート・資料]
コラ、バカ、トラトラ考──フィリピン・イヴァタン諸語から見たヤミ語の語彙 森口恒一
カレワン族の歴史──四言語対訳テキスト  清水 純(中訳:蔡易達、英訳:金子えりか)
台湾蕃族の種別について ………………………………… 森丑之助著/江田明彦編

[エッセイ]
2001年のサオ族──人類学からの視点 山路勝彦
「第十族目」の一家族 宮岡真央子

[彙報]

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内容説明

かつて「高砂族」と呼ばれた台湾先住諸族の研究誌。漢化と近代化の波に呑まれ、消失・変容しつつある多様なその文化を、人類学の立場から考究、紹介。[特集・台湾原住民の源流]、論文・資料・調査報告・エッセイなどを含む関連情報の拠点。


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特集・台湾原住民の源流

はじめに
末成道男

台湾という九州よりやや小さい島に、知られているだけで20を超える言語集団が居住し、今なお10以上の集団が住み続けている。かれらは、全く異質とは言えないにしても、それぞれ相互に通じない言葉を話し、固有の特徴を示す文化や社会組織を持って生活してきた。身体的特徴も、南北の肌の色の差はともかく、隣り合って住んでいても、はっきりとした差異の認められることも少なくない。眼を島外周辺地域に転じても、直接類縁関係を直ちに指摘しうるのは、南端の孤島蘭嶼に住むタウとバターン諸島住民に言語上の類縁関係が認められる程度で、その孤立の度合いは著しい。


いったいこうした特徴は、原住民のどのような過去を反映しているのか。その源流については、民族学、言語学、考古学の立場から多くの推測がなされてきたが、決定的な説明は現れず暗夜を模索する状態が続いてきた。ところが、最近注目すべき動きが現れた。それは、遺伝子分析という新しい手法の出現である。これは以下に明らかにされるように、適用可能範囲が部分的であり、万能の利器と呼べる代物ではないことは十分留意しておく必要があるが、これまで推測によるしかなかったところを、自然科学的に解明できる道を開いたという点で画期的と言える。さらに、考古学や言語学による資料の蓄積も、戦前と比べものにならないくらい飛躍的に増加している。それにひきかえ、主に現在の観察にもとづく文化人類学(社会人類学を含む)は、旧慣を知るインフォーマントの老齢化と共に、過去の伝統から遠ざかる一方であるが、こうした隣接分野の進展に対し、批判的あるいは建設的な提言を行いうる立場にあるのではなかろうか。


本特集は、われわれ台湾原住民研究グループで組織しているメーリングリストbinrou groupに、4月29日、金子(論文3のもととなった原稿)が現在の研究動向とくに遺伝学をもとにした研究の紹介とそれへの考古学の立場からのコメントを加えた問題提起がなされた。メールを介してそれに対する質問とコメントや論文が寄せられ活発な意見の交換がなされた。とくに、山田仁史(論文2)は、これらの議論をふまえ、関連論文を参照し、遺伝学の動向をまとめたものである。山田は、遺伝学専攻ではないが、そのためかえって我々一般読者にはわかりやすいという利点を持つ。


また、専門用語や概念については、自然人類学出身の野林による丁寧な説明と助言を得ているので、正確なはずである。自然人類学を専攻し、民族考古学をめざす野林(論文1)は、それを受けて、遺伝学、考古学、民族学についての自らの観点を簡潔に述べており、全体の導入としてもふさわしいので、冒頭に掲げた。これらを受けて、メールのやりとりでは言及されることが少なかった言語学、文化人類学からの提言を期してこの座談会が開かれた。


これらは、現在上記の問題がどこまで進展しており、どのような論点があるのかを知る上で専門外の読者にも興味あると考えられる。とくに、遺伝学の分析の現時点での有用性の範囲、および問題点や限界については通常の論文では取り上げられる機会が少なく、それを明示すること自体にも意味があると思う。さらに、この問題についての言語学、文化人類学のスタンスも示されているので、特集の形で収録することにした。

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執筆者紹介
末成道男(すえなり みちお)東洋大学社会学部教授
野林厚志(のばやし あつし)国立民族学博物館民族学研究開発センター助手
山田仁史(やまだ ひとし)京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程
金子えりか(かねこ えりか)
笠原政治(かさはら まさはる)横浜国立大学教育人間科学部教授
清水 純(しみず じゅん)日本大学経済学部教授
土田 滋(つちだ しげる)帝京平成大学教授
山路勝彦(やまじ かつひこ)関西学院大学社会学部教授
中村 平(なかむら たいら)大阪大学大学院文学研究科博士後期課程
森口恒一(もりぐち つねかず)静岡大学人文学部教授
蛸島 直(たこしま すなお)愛知学院大学文学部助教授
江田明彦(えだ あきひこ) 湘南工科大学
宮岡真央子(みやおか まおこ)東京外大大学院地域文化研究科博士後期課程

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